地獄だった修学旅行 [前編]
5日ぶりの更新です。
いやはや、毎日書こうなんて暴挙。無理ですよ。ええ。
まあ、気長に見守ってください。
長編書きます。
ボクの高校の時の修学旅行の話です。
ボクは人生で3回修学旅行に行っています。
小学校時は、九州。中学校時は、京都奈良。
そして、高校の時は北海道。
小学校、中学校までは楽しかったのですが、
この高校のときの修学旅行。
まさに…
地獄でした…。
苦しいエピソードしか思い出せず、観光名所は一切覚えていません。
その地獄のエピソードを今日は書きます。
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ボクの高校では、修学旅行先が選べるシステムなんです。
東京、沖縄、そして北海道。
ボクと仲が良かった友達は全員東京を選んでいました。ボクは、東京と沖縄はこの先人生で行けるだろうと思っていたので、北海道を選択しました。
しかし、この選択が多いに間違っていたのです…。
北海道を選択する学生の中で、ボクと特別仲が良かった連中は一人もいませんでした。修学旅行では班に分かれて行動しなくてはなりません。仕方が無いのでボクは、1年の時同じクラスのHモト君がいたグループに入りました。
Hモト君のグループは野球部のガチムチの連中ばかりが集まっていました。クラスの中心になって、クソつまんねーノリだけで笑いをとっているやつらです。
彼らは強きを助け、弱きを挫くタイプで、休み時間、本を読んでいるか机でうつぶせで寝ているしかしていない弱きのボクは、彼らを
「雷に打たれて死ね」
としか、思っていませんでした。実際に雷に打たれて死ぬ姿を想像して笑いをこらえながら、ボクは彼らと行動をともにする事になったのです。
楽しい修学旅行にしたかったです。
ボクは話した事も無い彼らの合間に入るのに必死でした。彼らのチンカス以下のジョークにも極力、口を大きく開けて笑い続けました。
『郷に入っては郷に従え』
『長いものには巻かれろ』
ことわざがボクをその方向に導きました。
一日目の夜、みんなでテレビを見ている時、当時流行っていた『ワンナイR&R』が流れていました。その中で、ガレッジセールのゴリさん演じる落ち武者というキャラクターが自衛隊のレンジャー部隊に仮入隊するという企画をやっていました。
ゴリさんの決死の姿にみんな笑い転げました。
その夜からグループの中で流行した事がありました。それは名前を呼ぶと、呼ばれた相手は『レンジャー!』と叫ぶ遊びです。
なにがおもしろいのか、ボクにはわかりませんでしたが、
これはチャンスだと思いました。
今まで、みんなボクに話題を振らなかったのですが、この名前を呼ぶだけという遊びは比較的振られやすいのです。
つまり、ボクをアピールできるビッグチャンスが訪れたのです。
それは突然訪れました。
みんなでホテルの露天風呂に入っているときです。みんな温泉でテンション上がって、ふざけ合っているときです。仲間の中心人物のT原が突然、
「N島!!!」
と、仲間の名前を呼び始めたのです。
N島は当然、「レンジャー!」と叫びました。
T原は続きます。
T原「Hモト!!!」
Hモト「レンジャー!」
T原「S木!!!」
S木「レンジャー!」
…さあ、この流れから行くといよいよボクの出番です。ここでおもしろおかしく叫ぶ事に全てがかかっています。
T原「テクノ!」
その瞬間、ボクは湯船から立ち上がり、
「ゥゥレレンンジャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!」
と、巻き舌を使いながら、腹から声を出し、オペラ調に叫んだのです。
「間」「声質」「伸び具合」どれをとっても笑わずにはいられない最高のパフォーマンスができたのです。叫んだ瞬間、心の中でガッツポーズをしました。しかし、それは1秒後に後悔へと変わります。
シーン。…カコン。お…おぅ…。
…もう一度言います。
シーン。…カコン。お…おぅ…。
ボクの耳にはこの音しか聞こえてきませんでした。
ボクが想像していたのは、
ギャハハハハハハ!!!テクノ!…ちょっ…おまっ…えぇ!!?お前そういうキャラやったん!!?あっははははははは!!!マジごめん腹痛ええ!!!オレら誤解しとったわ!テクノ最高だわ!これからもよろしくな!!!
という音でした。
それが…
シーン。
…カコン。
お…おぅ…。
耳を疑いました。
みんなが呆気にとられて、静かになったという「シーン」
静けさの中で、洗い場から聞こえる洗面器をひっくり返す音の「カコン」
その静けさに対し、何か言葉で埋めなくちゃいけないと、考え抜いた末に出て来た言葉が、T原が発した「お…おぅ…」
でした。叫んでいた瞬間、目を閉じていたので、まずいとわかっていながらも目をゆっくり開けると、そこに広がっていたのは、ボクの顔を意図的に見ないようにしようとしている男たちの姿でした。
恥ずかしかった…。ここぞというときに外してしまいました。
そうです。ボクは一世一代の瞬間のときに、大スベリをしてしまったのです。
まだまだ続きますので、次回に持ち越します。
また見てください。
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