【映画「立候補」論(2)】マック赤坂はなぜピエロを演じ続けるのか
昨日に引き続き、映画「立候補」について書こうと思います。
映画「立候補」CANDIDATES THE MOVIE TRAILER - YouTube
なぜ、マック赤坂はまじめに選挙活動をしないのか。
今回、彼の人間性を分析しながら、僕なりの見解を書きます。
なぜ、まじめに活動しないのか。その答えは息子にもわからないと映画で話しています。以前、マックから息子に「どうすれば、当選すると思う?」と、聞かれた事があるそうです。息子は「まじめに話せばいいんじゃない?」と、誰でも思うことを口にしたそうです。マックは「う〜ん…」と考えた末、再び次の選挙で踊りだしていました。
彼はまじめに活動すれば、選挙に受かる人間だと僕は思います。昨日も記事に書きましたが、マックは年商50億円の貿易会社の社長です。しかも、会社を興す前は、日本を代表する大手総合商社の伊藤忠商事のサラリーマンとして25年勤めた経験があるとか。大学も京都大学を卒業しています。経歴から見ると、当選している人のボーダーは超えていると思います。どうすればお金持ちになれるのか、どうすれば一流の会社に入れるのかとか、絶対に民間の方は知りたいと思います。絶対についてくる人はいると思います。
ではなぜ、彼はおちゃらけをやるのか。
その答えは映画の中にありました。
大阪府知事選で、橋下徹の応援のもと、松井一郎候補の街頭演説。その道路の反対車線にマック赤坂がロールスロイスの選挙カーで現れます。そして、爆音で植木等の曲を流し、演説を邪魔しようとします。橋本徹の話を聞きたい街の人たちはマック赤坂に「帰れ!」「うるさい!」「邪魔すんな」と大ブーイングを起こし、ついには大観衆の帰れコール。
そんな中、マックは「5分だけでもいいから演説させてくれ」と道路を挟んで橋本と松井に頭を下げるのです。鳴り止まない帰れコールの中、収拾がつかないと判断した松井候補陣営は「わかりました!5分だけ時間を与えましょう!」と、演説するチャンスを与えます。
大観衆の中、マック赤坂が何を話すのか!?
周囲の目線が一気にマック赤坂に集まります。
ここでうまくいけば、有権者の思いをひっくり返す一世一代のチャンスでした。
マックは演説しました。5分間きっちり。
しかし、彼の言葉は誰の胸にも響きませんでした。
演説の後、拍手もなにもありませんでした。挙げ句の果てに「マックさん、10度20度やってくださいよ」と、橋本徹にいじられる始末。
「10度…20度…30度!!!」と、全力で橋本のフリに答えるマックは惨め以外の何者でもありませんでした。
映画をちゃんと観た僕も、彼の演説の内容は全く記憶にありません。彼はその場でたしかにイイ事を言ったのです。そこではふざけず、まじめに。しかし何も印象に残っていません。
そうです…。
彼の本来の言葉というのは、可も無く不可も無いのです。
「普通」なのです。
それを彼は誰よりも気づいているのです。
梅田駅の地下でも、踊るのをやめて一旦まじめな内容の事を話そうとします。しかし、マックのもとに集まってた客は演説が始まった瞬間、その場を離れだしました。
そこでマック赤坂はボソリと
「オレが踊ってるときしか集まんねえなあ…」
とつぶやき、紙パックの鬼ころしを一口、チューと飲み、また大音量の音楽をかけ始め、踊りつづけるのです。
彼は、知っているのです。
自分の言葉には力が無いという、残酷な真実を。
しかし、自分は経済的に成功したという実績があるから、社会的成功も望んでいるのです。だから当選したいのです。
当選するためにまず知名度を上げるところから始めました。
普通の演説で人が集まらないとわかってるマックは、まずは大衆を引きつけようと踊るのです。いい歳したオッサンがエアロビやスーパーマンや宇宙人の格好をして踊る姿が面白いことを彼は知っているのです。だから彼は踊りつづけるのです。
今や彼の政見放送はYouTubeの再生回数が140万回を超え、大衆の目を引きつける事に成功しています。あとは、人を引きつける演説をできるのかどうかにかかっています。
しかし、彼は大きな誤算を起こしています。
それは、彼のやっている「笑い」は卑怯であり、下品であり、寒い笑いである事を彼は知らないと思います。
イロモノでしかない彼に誰が票をいれるのでしょうか。いや、誰も入れません。
マック赤坂に関しては、まだ言い足りないです。
明日いよいよ、映画「立候補」の号泣必須の大感動クライマックスについても書きますので、
どうか明日も引き続きお付き合いください。
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