【映画「立候補」論】マック赤坂はなぜ懲りず立候補し続けるのか!?
映画『立候補』観ました。
どの選挙にも「絶対に負けるのに、なんでこの人立候補してるんだろう」という候補者はいます。その人たちにスポットライトを当てた今作。
まあ、9割マック赤坂なんですが。
僕は、大学生の頃に後輩からのこの動画を紹介され、マック赤坂の存在を知りました。彼の持つインパクトに当時驚かざるを得ませんでした。そんな彼は年商50億を稼ぐ貿易会社の社長でもあるのです。彼の正気と狂気の境目がどこにあるのかを、ずっと疑問に思っており、この映画の公開を知り、これは観るべきだと、東中野まで出歩きました。
大阪府知事選。梅田駅の地下、京都大学の正門前で選挙演説をするマック赤坂。基本、道路許可は取っていない模様。警察官だろうが大学生だろうが、無断での演説に注意を受けると、秘書の桜井が「公職選挙法知らんのか!?」と脅して追っ払います。桜井曰く、公職選挙法において、立候補者は演説をどこで行っても、法律が守ってくれるそうです。
しかし、マック赤坂はそれをいい事に、京都の大通りの交差点のど真ん中で、植木等の無責任一代男をラジカセから拡声器で流しながし、タンバリンを両手に持ちながらノリノリで踊るのです。彼は演説など、やるつもりは全くありません。完全にイッちゃってるのです。
しかし、プライベートの本人たちは至って冷静。マックの自分の選挙放送を、本人が「アハハ」と秘書と一緒にテレビの前で笑っていました。
マック「俺がおもしろいんだから、本当におもしろいんだろうね」
政見放送放映後、マックはtwitterや大型掲示板で自分の事を話題にしていないか、チェックするのです。彼は自分の事を批評的な目線で見ている事もあるのです。それがまた不気味でもありました。
マックも秘書の桜井にも家族がおり、その目はやはり冷やかです。
マックの息子「選挙演説マジメにやればいいのに」
秘書桜井の息子「きもい」
マックの息子と桜井の息子。たぶん10数年後、いい酒友達になってそうです。
「10度…」
マックはじめ、各候補者は受かりたい気持ちはあるのです。彼らが口を揃えていうのは遊びじゃないということ。彼らは至って真剣なのです。
選挙は一回出馬するには300万円かかります。大金を払ってまで彼らが得たいものとはなんなのでしょうか?
選挙終了まで演説もせず、家にひきこもるおじいさん。
選挙演説が嫌いで、ただ大きな交差点で「よろしく!よろしく!」と道行く人に挨拶してまわるおっちゃん。
小学生の娘を男手一人で育てる60歳のお父さん。彼に至っては「当選は見込めないので4位に入りたい」と言っています。
そして、マック赤坂。
彼らはマック赤坂には負けますが、個性豊かな印象でした。
では、彼らはなぜ勝てる見込みのない選挙にわざわざ立候補するのでしょうか?
「20度…」
ここからは僕の見解です。
彼らにとって『選挙』=『自己表現の場』。
言うなれば、自分の存在を確かめるイベントのひとつであると思うのです。
それは僕が思うに、映画を作ること、ブログを書くこと、本を出すこと、野球チームに入ってエースを目指すことと、なんら変わらないと思うのです。
マック赤坂の行為を映画制作に置き換えるとわかりやすいかと思います。
選挙演説で注意されるのは、ロケで注意され「道路使用許可書とっとるわ!」と、怒鳴るのと一緒。
自分の政見放送で笑うのは、撮影したムービーのラッシュを見て役者の演技で笑ってしまうのと一緒。
そして、選挙に当選する事は、大きな映画祭でグランプリをとったり、世の中に自分の映画が認められる事と一緒だと思うのです。
映画が作ってみないとどう評価されるかわからないのと同じで、選挙も立候補しなければ、当選するかはわからないのです。
では、映画と選挙の最大の違いはなんでしょうか?
それは、勝負がはっきりとしている所です。
映画ならば、たとえ評価を受けなかったとしても「このセンスは凡人には理解できないだろ」と、開き直れるし、違う映画祭に出品したり、再評価を受ける場合もあります。しかし選挙の場合、当選するには票数でしか評価されませんし、当選する者、落選する者がはっきりと分かれます。また、再評価などなく、選挙当日に票が集まらなければ、その選挙は無かったもの同然なのです。
しかし、それだけに当選というものに憧れるのだと思います。
選挙演説していなくても、立候補している限り可能性は"ゼロ"ではありません。だから立候補してみるのだと思います。
(しかし、インタビューした候補者の中で『宝くじも買わなければ当たらない。選挙も一緒。』と言っている方がいましたが、それは買いかぶり過ぎだと思っています。選挙は運だけでは駄目だと思います。)
さらに、大阪府知事選マック赤坂も含め、候補者7人全員が2万票以上の票を集めているのです。人ひとりが2万票も入れてくれるのは、人としての存在価値があるような気がして、誇らしく感じるのだと思います。泡沫候補者は立候補によって『自分は生きてる』という実感も得ようとしているのではないでしょうか。
えー…映画『立候補』について、まだまだ書きたい事がたくさんあります。
明日は、マック赤坂の人間性について語り尽くそうと思っています。
彼はなぜまじめに選挙活動しないのか。徹底解明していきますのでお楽しみに!!!
映画『立候補』、なんとDVD化しないらしいです。まだ観れていない方はぜひお近くの劇場へ原付、電車、新幹線、なんでも飛ばして観に行くべきだと思います。
上映映画館一覧
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